【超音波の可視化】
   計算機シミュレーションによる画像化ではなく,物理的及び化学的作用を用いた音場の観察手法を研究している.可視化実験として代表的なものが,衝撃波研究の先駆者であるErnst Machが行なった弾丸によって発生した衝撃波の可視化である.瞬間撮影法として確立され,衝撃波や圧縮性流れ等に関する「瞬間」かつ「見えない」現象を見る可視化技術の発展の道が拓けた.以後,観測現象に対して最適な物理的効果(回折,偏光及び干渉等)や化学的効果を利用した様々な手法が提案されてきた.ここでは,超音波の可視化手法と得られた可視化像について説明する.

・シュリーレン法
 音波による密度変化が生ずると,それに起因した屈折率変化によって光線は偏向し焦点から外れる.ナイフエッジ等で,その光だけをカメラで測定することにより,密度変化に対応した像を観測することができる.写真は,液面と下面にある金属板によって反射を繰り返10MHzの超音波である.超音波がプリズムのような働きをして,鮮やかなカラーで観察できる.

・フレネル回折法
 ナイフエッジ等は用いずFresnel回折による音場の後方に生じる強度格子を観測することにより音の波面まで可視化することができる.写真は,周波数1MHzの超音波の音場である.

・光弾性法
 音波によって生じる複屈折によって光の偏光面が回転するので,その回転した光だけを観測する.写真は,水中に置いたガラスへ右上から超音波が入射した後の様子である.下方のガラスには横波及びレイリー波が確認できる.また,レイリー波が水中へ縦波を放射しながら伝搬しているのも分かる.

超音波の可視化技術は,高校物理等の波動の性質を理解するための教材としても利用されています.物理教材開発も行っています.

シュリーレン法


フレネル回折法



光弾性法



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