相対論的クーロン電場収縮を世界初実証(淺川G)
プレスリリース「(共同発表)アインシュタインが残した宿題を遂に解明。電磁気における特殊相対性理論を世界で初めて直接実証」 ―相対論的クーロン電場を可視化、生成機構の検証に成功― アインシュタインが残した宿題を遂に解明。電磁気における特殊相対性理論を世界で初めて直接実証。
https://www.kansai-u.ac.jp/ja/about/pr/news/2022/10/post_68059.html
https://www.kansai-u.ac.jp/ja/assets/pdf/about/pr/press_release/2022/Nojr7.pdf
"Ultrafast visualization of an electric field under the Lorentz transformation"
Open Access P:1-5, Nature Physics (2022)
https://www.nature.com/articles/s41567-022-01767-w
大阪大学レーザー科学研究所の中嶋誠准教授、太田雅人特任研究員(研究当時 大阪大学理学研究科宇宙地球科学専攻博士課程後期在籍)、同産業科学研究所の菅晃一助教、関西大学の浅川誠教授、三重大学大学院工学研究科の松井龍之介准教授らの研究グループは、光の
99.99%の速度で移動する電子ビームの周りに形成される電場の時空間分布を計測、100 年以上前に A. アインシュタインによって予言された理論(電磁気における特殊相対性理論)を直接的に実証することに成功しました。
相対性理論は現代物理の基礎であり、その正当性に疑問を投げかける余地はありません。ここで、特殊相対性理論が電磁気において成り立つことは暗に正しいとされてきました。しかし、教科書を覗いても、相対論的電磁気の重要な特徴であるクーロン電場の収縮を実証したとは書かれていません。もちろん、クーロン電場収縮の写真(実験結果)は載せられてはおらず、予想される電場分布のイラストが描かれているだけです。
中嶋准教授らの研究グループは、電気光学検出と呼ばれる、テラヘルツ物理学で用いられてきた電場の超高速計測によってサブピコ秒※4 の高い時間分解能を実現し、光に近い速度で等速直線運動を行う電子ビーム周りに生成されるクーロン電場の時空間(二次元)分布の計測に成功しました。特殊相対性理論が予言する、相対論的クーロン電場の平面状収縮を可視化、さらに、電子ビームの金属境界通過後の伝搬に伴う電場時空間分布の発展を調べることで、この相対論的電場収縮の形成過程の観測に成功しました。これらの結果は、従来の間接的な検証とは一線を画す、電磁気における特殊相対性理論の直接的な実証結果です。