【超音波キャビテーション】
   ビーカー内の水に1気圧を超えるような強い超音波を与えると,大気圧以下の負の圧力が生まれる.水中の小さなゴミ等に付随した微小のガスは,圧力が負になったとき,気泡へと成長する.正の圧力は成長した気泡を潰そうと働く.気泡は膨張・収縮をくり返しながら,水中に溶けていた空気を巻きこみどんどん成長していく.超音波によって気泡が潰されそうになると,断熱状態で気体を圧縮することになり,気泡内部は数千度・数百気圧という高温高圧状態になる.この時,瞬間的に光を放射する.これがキャビテーション発光である.しかし,わずかな光であるために,肉眼で観察するのは困難である.ルミーノールを加えると酸化によって非常に強く発光する.超音波(ソニック)による発光(ルミネッセンス)は,ソノルミネッセンスと呼ばれている.右の写真は,ビーカー内のルミノールを含んだアルカリ水溶液の発光を観察した写真である.超音波の定常波の音圧分布に相当して光っているのが分かる.
 キャビテーションは発光だけでなく,洗浄や,高分子の分解・重合も行うことができる.超音波の物理的作用だけではなく,化学的作用に着目したソノケミストリーの研究も行っている.

周波数100kHzの超音波によるキャビテーション発光

ビーカーの上から撮影



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