【負の群速度】
   波動の速度には2種類ある.1つは“位相速度”であり,もう1つが“群速度”である.パルスを例に取ると,パルスの波面の進む速度を表すのが位相速度であり,エンベロープ(エネルギー)の移動する速度を示すのが群速度である.一般的な波動の伝搬では,位相速度=群速度であり,特に区別せずに“速度”と呼んでいる.一方,波動の速度は,周波数を変化させても位相速度(波数)は変化することはないが,周期的な構造を伝搬する波動は位相速度が変化する.これを分散性と呼んでいる.分散性を示す超音波の伝搬形態(例えば,周期的構造中や層構造中)においては,位相速度と郡速度が異なる.しかも,波面の移動方向(位相速度)とは反対方向にエネルギー(群速度)が進むことがある.これが負の群速度である.超音波の光学的な可視化像である上の写真の40マイクロ秒後の写真が右である.明るい部分である超音波のエネルギーは左へ移動している.写真では分かりにくいがスローモーション動画で観察すると,波面は右へ移動している.

波面は右へ

エネルギーは左へ



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