【超音波の位相共役現象】
   位相共役現象とは,周波数が同じで伝搬経路が逆向きの波動が発生することを指します.位相共役波は,時間を巻き戻すかのようぬ振る舞うため,その性質を時間反転性と呼んでいます.光学において盛んに研究され,超音波における研究も多数報告されています.当研究室では,圧電材料の非線形圧電性を利用した超音波の位相共役現象の研究をしています.非線形圧電性を介した音場と電場のパラメトリック相互作用により,位相共役波が発生します.入射超音波に対して発生した位相共役波の強度は,非線形性,電場の大きさ,周波数に依存します.現在,入射波より大きな位相共役波の発生を目指して研究中です.動画は,水中にある超音波振動子から出射した周波数10MHzの入射超音波と,水槽底に固定した位相共役鏡(発生媒質)にて発生する位相共役波を光学的に可視化したものです.
 応用面としては,医療診断装置や非破壊検査等の超音波映像系が挙げられます.位相共役波には,観察対象の表面形状や超音波伝搬経路の不均一による波面歪を時間反転性により補正する能力があります.位相共役波を超音波映像系へ応用すると,波面歪による画像の乱れを防ぐことができます.通常の手法による超音波画像(左)に対して位相共役像(右)では画像の乱れが補正されている.


通常の画像


位相共役像


Copyright(c)2009 US-Phys. Lab. All Rights Reserved