4. 医療マイクロ波CTの研究開発 (山口G)

 マイクロ波を使った計算機トモグラフィー法による乳がん早期診断法の研究開発が現在進められています。欧米では乳がん検診の高い受診率によって乳がん死亡率が抑制されていますが, 日本では受診率が低いため乳がん罹患率・死亡率の増加が続いています。効果的に乳がん早期診断するには, 専門医不在の集団定期検診において直径5mmの乳がん組織を高い特異度で自動判定できる低価格の小型診断装置が求められます。乳房の正常組織(脂肪を多く含む)は周波数1~10GHzのマイクロ波帯において比誘電率5~30を持ちます。一方, 癌組織は高い誘電率をもち, 悪性腫瘍の比誘電率は50を超えます。乳房にマイクロ波を照射すると, 癌組織の表面や内部において反射波や散乱波を生じ, これらの波に癌組織の位置形状や電気定数の情報が含まれます。この波を受信し振幅位相を分析することによって, 乳房内部における誘電率分布図, 乳がん断層像(CT)を得ることができます。本研究では, 8~12GHz帯のマイクロ波CT法を確立して実用時間内でマイクロ波CT像を再構成し, 集団定期健診に適した乳がん早期診断システムを開発します。

大学院進学志望者や研究意欲のある学生さんは, 3年次冬の応用物理学会, 4年次秋のマイクロウェーブ展, 等で学会発表します。院生はPIERS等の国際会議で学会発表, 論文投稿(英語,査読付)をします。 卒業生進路は主に医療機器・電機・通信・情報, 等の企業です。

自然科学研究機構 核融合科学研究所(NINS/NIFS), 広島工大, 長崎大学 共同研究 (2008~)
本学入試情報サイトKan-Dai Web「研究最前線」見えない"がん"を電磁波で発見する 詳細
電気学会 A部門長賞〔平成25年度 〕「マイクロ波計算機トモグラフィー」岸本真空さん PDF

2008年04月01日